ベツィレウ族 円形文様の扉 o_175
ベツィレウ族 円形文様の扉 o_175
マダガスカル中央高地南部、フィアナランツォア州の高原部に主に住むベツィレウ族の家に取り付けられていた伝統的な木の扉です。
*マダガスカルの部族のお品です。コレクションからベツィレウ族の扉を紹介させていただきます。
高地民族グループに属する「ベツィレウ」は「無敵の人々」という意味を持ち、マダガスカルのなかでもちょっと特別視されている部族のようです。
さらに、ベツィレウ人(とメリナ人)は「陽の下の民族」とも呼ばれていて、文化の違いからか海岸部に住む他民族と対立しがちだといわれています。
こちらはそんなベツィレウの家の窓枠に取り付けられていた伝統的な扉です。堅木に(キリスト教の影響を受けたと思われる)円形の文様が彫られていて、ロマネスクでエキゾチックな雰囲気があります。
高地のため電気も水道もない村も多いといいます。おそらくインターネットもつながっていないため伝統文化がオリジナルのまま続いているのだと思います。
扉の内側にはダメージとともに、1956年に刻まれたと思われる文字が見受けられます。
碑文のような「VYTA TAMIN TAONA」?? の文字。ベツィレウの人の名前でしょうか。
ベツィレウでは乾季の8月から10月にかけて独自の葬送儀礼にまつわるお祭りが盛んに行われるそうです。
「仮埋葬した遺骨を本埋葬するときや、墓を新築したときなどに催され、墓から遺骨を取りだし(~中略~)弔い直す一種の改葬祭である。」そうでベツィレウの人々にとって先祖供養の重要性を感じます。
また、「死者の記念のために、死後1年ないし数年のうちに、石の立柱(男石vato lahyと呼ばれる)あるいは平たい円形の石(女石vato vavy)を配置することが特徴」とされ、死者を祀るお墓のような場所がベツィレウの村のどこかにあるようです。
ベツィレウ族が実際に使用していたオリジナルの扉です。
実際に古くから使用されていたもので、欠け・ワレ・シミ・浸食・虫食い穴・穴・汚れといったダメージ等がございます。経年使用で風雨にさらされてきたことを思わせる佇まいです。
<参考サイト>
「祖先の島・マダガスカルの祭り」(マダガスカル研究懇談会)
「「減退する森と人」-ザフィマニリ社会について-」(マダガスカル研究懇談会)
「ベツィレウ人」(wikipedia)
*最後の画像は独自の葬送儀礼を持つベツィレウのお墓。(Betsileo tomb in the Anja Reserve, Madagascar / Bernard Gagnon)
●原産国
マダガスカル Madagascar
●部族
ベツィレウ族 Betsileo
●本体のおおよそのサイズ
h45.5cm、w37.0cm、厚3.3cm
●重さ
約 2.0 kg
●推定年代
20世紀前半
●素材
広葉樹
●来歴
EX. in situ(現地収集品)
EX. Art dealer(IT)
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